 植物は、光合成によってエネルギーを得ます。光合成に必要な太陽の光はクロロフィル色素、又は葉緑素と呼ばれる「アンテナ」で吸収します。吸収された光は、電子を放出し、それを別の色素分子であるアクセプター(電子受容体)分子に受け渡します。電子はマイナスの電気(e−)を持っていますが、それが移動することで、マイナスの電子が抜け、プラスの電荷(e+)を帯びます。こうしてできた電気的な偏りによってエネルギーが生じます。光合成は、この受け渡しが繰り返し行われることでエネルギーを作っているのです。このようにして効率的に作られたエネルギーは、生体のエネルギー通貨であるATP(アデノシン三リン酸)の合成などに使われます。

 植物が行う光合成において光のエネルギーは、電子を放出する分子ドナー(電子供与体)と、それを受け取るアクセプターによって、化学的なエネルギーに変換されます。このドナーとアクセプターが行う電子の受け取りを模倣して、人工的に光エネルギーから電流を作り出すことができるかもしれません。

 日本の研究者は、クロロフィルと似た構造を持つポルフィリンという物質に、電子を受けやすく、また離しやすいフラーレン(C60)という物質を結合させた分子を合成しました。フラーレンはサッカーボール状に炭素原子が60個存在する分子(写真2)で、その表面には沢山の電子を持っています。この分子に光を当てると、それぞれドナーとアクセプターとして働き、光電子移動を起こし、光合成のように非常に効率よくエネルギーを作ることを発見しました。

 現在普及している太陽電池の殆どは、シリコン皮膜の半導体を使用したものですが、ポルフィリンやフラーレンのような低分子材料を組み合わせて用いるものを「有機薄膜太陽電池」と呼びます。現在、地球温暖化やエネルギー問題を解決するために、太陽光を使った新しいエネルギーの開発が進められています。「有機薄膜太陽電池」に使われる有機化合物は大量生産が可能なので、安い価格で提供することが可能です。また、フラーレンの直径は、0.7nm(ナノメートル:1mの10億分の1)と非常に小さい分子です。このナノサイズの分子を繊維に織り込み、布として商品化する開発も進んでいます。布状の太陽電池ができれば,カーテンやバッグなどによって太陽電池の新しい用途の開拓が可能になるかもしれません。
http://www.moleng.kyoto-u.ac.jp/~moleng_05/imahori_present.html http://www.idealstar-net.com/

|
|
 |
|


|